いくつかの選択肢があるといいですね!
長寿時代になり、老後の暮らし方や、そのための備えに対する考え方も変わってきているのでしょうか?
住宅資金、教育資金、資産形成などの人生を豊かにするためのお金のお話のほか、介護の備えについても、
普通に語るべき時代が来たと感じています。
医療と介護も、年金や資産形成と並んで重要なテーマです。
医療に関して病気やケガの備えをしている方は多いのですが、
介護の備えとなると、漠然として手つかずの方が多いのが現状です。
介護への備えというと、「公的介護保険があるから大丈夫」と思われる方も多いかと思います。
確かに公的介護保険は心強い味方ですが、それぞれのケースやお身体の状態によっては、
受けたいサービスを積み上げていくと、公的介護保険の支給限度額内に収まらないこともあります。
公的介護保険だけで、備えは万全とは言い切れない…?備えの全てにはならない可能性があります。
実は介護サービスを実際に利用している人は意外と少ないのです。
それはなぜか?
介護保険制度では、かかった費用の1~3割が自己負担になるのですが、
その金額を払うことも厳しい状況があるからです。
仕事を引退して年金支給があるとしても、そこから税金や社会保険料、生活費が差し引かれます。
さらに、孫にお小遣いもわたしたいし、趣味や旅行にもお金を使いたいし…となると、
家計はマイナスになることも。
60歳以上の無職者世帯(2人以上の世帯)の平均収支は約6万円の赤字という調査報告もあります。
こうした現状を考えると、これからは介護も見据えた備えが欠かせません。
「介護の備え」として、いつまでにいくらくらい準備すればよいのでしょうか?
まずは介護のことだけではなく、
「どのような人生を送りたいか」という、人生全体をイメージすることが大切です。
何歳まで働くのか、子供にどのくらいの教育費が必要なのか、家は買うのか借りるのか、車を持つのか、
いつから年金生活に入るのか、老後はどこでだれと暮らしたいのか……。
将来の家族、生活をできるだけ具体的にイメージすることから始めましょう。
それに合わせて、年齢を経るごとに変化する収入と支出を大まかに把握します。
その上で、不足する分をどのように補うのか、対策を立てることになります。
貯蓄か、保険か、家を担保にするか、など、方法はさまざまです。
ただ、自分たちの理想の生き方は描けても、お金の収支を予測するのは難しいですよね。
そこで相談していただきたいのが、ライフカウンセラーやファイナンシャル・プランナーなど、
人生の資金計画に精通した専門家です。
個別の相談では、「娘の教育費もまだまだかかるし、数年後には車も買い替えたい」というプランも
見えてきました。
さらに、「最近、自分の親が介護施設に入居したが、月25万~30万円かかるらしい。自分たちがこの先、
要介護になったとしたら、そんなお金はどこから捻出できるのだろう? 退職金や年金を充てれば大丈夫
だろうか? 家を担保にして資金調達しないといけないのだろうか?」と、新たな心配も。
老親の暮らしを心配する熟年世代も増えています。
しかし、お金がからむ話だけに、親子での話し合いがしづらいご家庭も多いようです。
親御さんの暮らしや介護費用を心配されるのはもっともですね。
しかし、お金の話は繊細なこと。ましてやご本人が元気なうちから、介護や相続などの話となると、
「話題にしづらい」「親が聞く耳をもたない」という声はよく聞きます。
そんなときは、ライフカウンセラーや税理士、弁護士など、専門家の力を借りて、
家族の話し合いに加わってもらうのがおすすめです。
やはり、第三者の視点で論理的に意見を述べることで、親御さんも話を受け入れやすくなるようです。
専門家を呼ぶのが難しい場合は、「老後の資産形成」「高齢者の医療と介護」「年金」などのテーマで
開催されているセミナーや、介護施設の見学会に親子で参加してみるのもいいでしょう。
自治体や介護事業会社、保険会社などがよく開催しているので、情報を集めてみてください。
セミナーや見学会が、老後の暮らし方を具体的に話すきっかけになることもあります。
加齢とともに必要になるサービスやサポートをうまく利用することで、「こうありたい」と考える
老後の暮らしに、より近づけることが可能です。
元気なうちだからこそ、老後の生き方を考える前向きな話として、「介護」も話題にしてください。
そのための備えは、始まりが早ければ早いほど、人生の選択肢も広がります。